缶コーヒーは偽装が当たり前ってマジ?ちょっと考えてみると、「ない話なのでは」

コーヒー

ちょっと……というか、だいぶ前の記事なんですが、個人的に気になったことだったので、思い切って書いてしまいます。

缶コーヒーの豆の偽装は暗黙の了解?焙煎専門会社の元社員が告発(LivedoorNews)

記事がなくなると、困るので要約部分を引用させてもらいます。

  • 大手メーカーから焙煎を委託される専門会社の元社員に話を聞いている
  • 缶コーヒーの豆の種類や等級の偽装については、ほぼ暗黙の了解だという
  • 「安い値段で頼みたいので、深くは探ってきません」と語った

ということのようです。

このLivedoor Newsの元記事は、日刊SPA!の「缶コーヒーの豆の種類や等級を偽装…匿名で告発、食品業界の隠ぺい事情」という記事です。

なんか一気に信憑性がなくなったような(笑)

結論から書くと「うさんくせー」というのが素直な感想です。

というのも、部分部分として考えると、それっぽい部分もあるんですが、「うーん」って部分があまりにも「うーん」って感じで、記事全体を見ると、「うさんくせー」になってしまいます。

というわけで、ちょっと「っぽい」部分から紹介していきたいと思います(笑)

それっぽい部分

「発注先のメーカーから豆の種類と等級は指定されますが、生豆の状態で見分けるのはほぼ不可能。味もワンランク下のものを混ぜた程度では、違いはわかりません」

これはまあ、その通りで、ちょっと混じってるくらいならわからないと思います。まあ欠点豆が大量に入ってたりすればわかるとは思うけど。さすがに、一部がちょっと混ざってるくらいではわからないと思います。大半の缶コーヒーで砂糖ミルク入ってますしね。なんか特別な豆入ってる!ってやつで、ブラックのやつあんまりない(というか見たことない)ですしね。限定の○○ブレンドとか○○農園豆使用!ってやつは、大概が、砂糖ミルク入りです。

砂糖ミルク入ってれば、○○農園豆使用!っていうのが嘘っぱちだったとしても、まあ、バレないと思います。

缶コーヒーってそこまで気を付けて飲むものでもないですしね。

というか、最近ではアラビカ種100パーセントを謳う缶コーヒーも増えてきましたが、缶コーヒーには元から、ロブスタ種(一般的に飲まれているコーヒー、アラビカ種よりかは味や風味が劣るけれど、病気などに強く大量生産できる品種のこと)が使われていたので、いまさらか!という気もします。

材料費を削減したせいで「味が落ちた」というクレームが日常的に届いているため、多少の変化ならバレることはほぼないという。

いちいち缶コーヒーでクレームいれます?(笑)

と思ったら、ここの部分は別の「冷凍食品のハンバーグ」に関する話だったのか。紛らわしい。

要するに、「っぽいなー」と思うのは、多少、質の悪い豆が混ざってても「わかりません」の部分だけです。

逆に「嘘っぽいなー」と思う部分は……いっぱいあります(笑)

嘘っぽい部分

「嘘っぽいな」と思った部分について書いてみます。

比較対象おかしくない?

本当に最高級の豆を使っていたら最低でも500円で売らないと元が取れない。それが130円で売られているのはそういう理由です。喫茶店のコーヒーの値段と比べればわかるでしょう

ええー!マジでー!?……なアホな(笑)

何故喫茶店のコーヒーと比べるのか(笑)

喫茶店のコーヒーは、300円だったり500円だったりします。まあ、僕がこのブログで紹介しているお店だと、500円だったり600円だったりします。

ここでは、とりあえず、普通の喫茶店として350円ぐらいで考えましょう。

で、この喫茶店の350円のコーヒー。原価は10パーセントぐらいです。35円分のコーヒー豆を使って入れたコーヒーを350円で売ってるわけですね。

じゃあ、残りの315円分は何なのかというと、接客やコーヒーをいれたりする人件費や光熱費だったりするわけです。

要するに喫茶店のコーヒーの値段って、コーヒー以外が占めてる部分が多いわけです。

純粋に抽出したコーヒーの液を売っている缶コーヒーと比較するのは、それだけでもおかしいと思います。

さらにさらに、実は缶コーヒーのコーヒー豆の量って、喫茶店でいれるコーヒー豆の量の半分ぐらいしか入ってないのです。

公正取引委員会が出している「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」というのがありまして、缶コーヒーに「コーヒー」として表示するには、内容量100gにつきコーヒー豆は5gでいいのです。

なんでそんな少なくていいのかというと、

喫茶店などで供されるコーヒーの場合、1杯(100~150ml)あたりの生豆使用量は約10グラム程度とされるため、濃度規格をもっと上げるべきだという意見も挙げられていた。しかし、飲用するシチュエーションが異なる缶コーヒーとレギュラーコーヒーを同列で比較するのは無理があるという観点から、当範囲内に収めるのが妥当という結論に至っている。

(Wikipediaの缶コーヒーの項目より引用)

ということなんですねー。

そんなわけで、大量に機械で焙煎して、大量に機械で抽出して、大量に機械で缶詰する、しかも、豆の使用量は少なくてもいい缶コーヒーが(偽装なしで作ったら)500円で売らないと元がとれない、なんて到底思えないわけです。

「最高級の豆」?

缶コーヒーでスペシャルティコーヒー(山地や農園、生産者、品種等のトレーサビリティがしっかりした特別なコーヒー豆のこと)使用って謳ってるの、みたことないけど?コモディティ(一般品のコーヒー豆のこと)の最上等級っていうことなら、普通の喫茶店でいれているコーヒーだってそうですしね。

ちなみに、コモディティコーヒーの値段は先物取引市場で決まります。

この記事を書いているときの先物相場は、コーヒー豆1ポンド(約450グラム)あたりおおよそ125セント(約140円)

焙煎すると、8割ぐらいの重量になりますが、5gあたり2円ぐらいでしかないです。コーヒー豆だけの値段なので、輸送費とかもろもろは入ってないですが、上の記事でいっていることがちょっと無理があるかなーというのはわかると思います。

 

代用コーヒーまで使う?

 さらに発注時点で増量材としてチコリの根を入れるよう指示してきた会社もあったという。

「色も味もほとんど変わらないので、チコリでかさ増しして材料費を抑えるんです。名前は出せませんが、一社ではありませんでした」

ここでいっているチコリの根っていうのは、いわゆる「代用コーヒー」っていうやつです。

妊婦さんとかで「カフェインの摂取に制限がある」とか、そういう人たちがコーヒーの代わりとして飲むものです。

珍しい?例としては、戦争中のドイツや日本とかで、コーヒー豆が手に入らないので、コーヒーの代わりとして飲んでいたりもしたようです。

チコリの根以外には、ヒマワリの種とか、大豆とかそういうのを煎って使ったります。

そこまでする?

確かにチコリの根って、コーヒーより安いんですよ(ここでいう値段は僕ら一般消費者が買う値段のことです。仕入れるほうはわかりません)。

だから、増量剤として使えるとは思いますし、アメリカでは小麦粉とかを増量剤で大量に使ってたりした前科があるので、そういう意味ではそんなに不思議な話ではないんですが……。

じゃあなぜわざわざ記事まで書いたのか

こういうことを総合すると、「ないわー」っていう感じなんですが、じゃあなぜわざわざこんな反論じみた記事まで書いたのかというと、上でも書いたように、アメリカで増量剤としてそういうものが大量に使われた過去があるからです。

では、缶コーヒーでのコーヒー豆の偽装は行われているのか。

しかし、このLivedoorNewsの、日刊SPAの記事そのものは「与太話」と考えるのが妥当かとは思います。細かく考えていくと粗が多すぎるからです。

とはいえ、安価な缶コーヒーで、そういうことが行われていても「まったく不思議ではない」というのが実際のところです。

はてさて。缶コーヒーや安価なコーヒー飲料でコーヒー豆の偽装やくず豆を混ぜたりは行われているのか。

行われている、というリアリティは十分にありありですが、考えないほうが幸せかも知れませんね。

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