以前、スペシャルティコーヒーの話をしました。
それから、ファーストウェーブセカンドウェーブサードウェーブの話もしました。
というわけで、今回は、スペシャルティコーヒーの前と後で、コーヒーの生産者、農園や作られるコーヒー豆がどう違うのか、という話をしていきたいと思います。
スペシャルティコーヒー前
スペシャルティコーヒーが生まれる前、ファーストウェーブからセカンドウェーブの時代です。
以前、ファーストウェーブの話をしたときに、とにかく量を作ることが正義とされた時代でした、という話をしました。
なので、それ以前は量を作ることに焦点が置かれていました。
基本的に農園はまずしい
基本的にコーヒー農園はまずしいです。
とにかく大量に作ることが正義なので、コーヒーの生豆をせっかく頑張って作っても、買い叩かれたりしました。
コーヒーは貧しい国――南半球の発展途上国(アフリカとか南米とか)で作られて、豊かな国――北半球の先進国で消費される飲み物でした。
当然そこには南北経済格差が絡んでくることになります。
コーヒーの生産国であるアフリカや南米の国々は、欧米先進国の植民地だったこともあり、そこには「搾取」の色合いすらありました。
とにかく収穫量が多くなる品種改良
「量を作ること」が正義なので、コーヒーの木に対する品種改良も、それに則って行われます。
多収穫の品種を作ることが大事でした。
収穫量を多くなるように品種改良を重ね、とにかく収穫量が多くなる品種を大量に育成しようとしていました。
カツーラやカツアイなどの、収穫量が多い品種に絞って、大量に生産する時代でした。
少品種多量生産が特徴です。
精製方法はナチュラルかウォッシュト
精製方法はナチュラル(自然乾燥)かウォッシュト(水洗)が主流でした。
スペシャルティコーヒーの出現で変わったもの
スペシャルティコーヒーが出てくることで、それが認知されることで、どう変化していったのでしょうか?
農園を豊かにしていくことが持続可能なコーヒーのコツ
スペシャルティコーヒーの出現以後、もしくは、フェアトレードなどが認知されていくと、コーヒーの農園の収入というのはよくなっていきます。
先物市場にとらわれることなく、「おいしいコーヒー」であれば高く売れる、そういう時代になると、コーヒー農家たちも、より多い収入を得るためにおいしいコーヒーを作るにはどうすればいいのかを考えるようになります。
また、コーヒー農家たちが豊かになれば、農園やその周辺の環境の維持や改善がスムーズに進んでいくことになります。
コーヒーが高く売れるのであれば、コカインの栽培などに手を染める必要はないのです。
小ロットで多品種少量生産
スペシャルティコーヒーというのは、個性が大事です。
個性を大事にすることを考えると、今までのような少品種多量生産というやり方は向いていません。
精製なども大規模な工場で一括処理するようも、単一の農園単位で細かく行い、特徴的な味作りをしていく方向にシフトしていきます。
品種も、大量生産を重視した品種から、味のよい品種を作る方向へいきます。
品種改良も特徴的でおいしい味を作る品種、パカマラなどを作る方向にシフトしていきます。
環境によい精製方法を目指して
スペシャルティコーヒーでは、サステイナブル、環境に対する考え方も大事になっていきます。
また、当然ですが、生豆の品質も大事です。
そうなると、独特の香味にファンが多いのですが、生豆の表面が揃いにくいナチュラル方式での精製が廃れていきました。
また、ウォッシュトも生豆の表面が揃いやすいのですが、精製時に大量の水が必要で、環境負荷が高い、といわれるようになります。
スペシャルティコーヒー以後は、ナチュラルとウォッシュトのいいとこどりである、パルプドナチュラル式――ハニープロセスという精製方法が主流になりました。
また、ハニープロセスの独特な甘い香味が豆に個性を与えて、品評会で高い点数を取りやすいというのもあります。
品評会で高い点数をとりやすいコーヒーをつくるようになった
スペシャルティコーヒーの品評会、カッピングで高い点数を得るコーヒー、得やすいコーヒーというのは往々にしてあります。
そして、カッピングテストで高い点数をとれば、それだけで、自分のコーヒーを高く売ることが簡単になるわけです。
そのため、各農園はカッピングで高い点数をとりやすいコーヒーを作ることに注力しています。
これは良くも悪くも、という部分がどうしても出てきてしまう部分です。
日本では好きな人が多いナチュラルのコーヒーは、品評会では高い点数を取りにくいので、数が少なくなるとか。カッピングテストは中煎りで行われるので、深煎りなどで本領を発揮する豆は作りにくくなるとか。
そういうことが起こるためです。
いろいろあるけど、コーヒーはよくなっている
色々書きましたが、コーヒーそのものは、スペシャルティコーヒーが出てきて、それらが洗練されて普及していくにつれてどんどん高品質化が進んでいると思います。
作り手の情熱に負けないよう、僕たち受け手のほうも、コーヒーへの情熱を持っていきたいですね!
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