今回はスペシャルティコーヒーの話をしていきたいと思います。
このブログで紹介しているようなお店に行くと、だいたい書いてある「当店ではスペシャルティコーヒーを使用しています!」の文字。
なんとなく、これがスペシャルティだな、という意味はわかっていると思いますが、具体的な定義、知ってますか?
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スペシャルティコーヒーの定義は決まってない
最初に「スペシャルティコーヒーの定義知ってますか」と書いておきながら、すぐ下で「定義なんてない」と否定するのは、どうかと思いますが(笑)
スペシャルティコーヒーの定義、というのは、実は様々で、具体的にこう!と決まっているものはありません。
というのも、世界中に「スペシャルティコーヒー協会」というものがあるのですが――ちなみに、日本はSpecialty Coffee Asociation of Japan(SCAJ)で、アメリカは、Specialty Coffee Asociation of America(SCAA)、ヨーロッパはSpecialty Coffee Asociation of Europe(SCAE)――この、世界中にある「スペシャルティコーヒー協会」一つ一つで、スペシャルティコーヒーの定義、というのは違っています。
それはまあ……大人の事情、というわけですね(笑)
当然各国には、もともとコーヒー業者とかが一杯いて、それらのコーヒー業界が「これからはスペシャルティやってきましょ」というわけで、スペシャルティコーヒー協会を作ったわけですが、各国のコーヒー文化の成り立ちとか、業者の商売としての立場を忖度したりしながら、定義づけを決めていったわけです。
なので、各協会で微妙に「スペシャルティコーヒーの定義」が違ってくるわけです。
まず、スペシャルティコーヒーの原点から初めて、各協会の「スペシャルティコーヒーの定義」というより、その方向性「特徴」についてみてみます。
はじめに「テロワールありき」
ワインが好きな人は、「テロワール」という言葉を聞いたことがあると思います。
この「テロワール」というのは、ワインに使う「ぶどうの生育条件」のことです。ワインに使うぶどうは、当然、生育条件によって微妙に味が変わってきます。そして、ぶどうの味によって、またワインの味が変わってくることになります。
この概念が、1978年に、フランスのコーヒー国際会議でコーヒーの世界に持ち込まれたのがすべての始まりです。
つまり、農園ひとつひとつの微妙な環境の違い、それらが、コーヒーの味にもたらす違いに着目しよう、という考え方がスペシャルティコーヒーのベースにあります。
アメリカの場合
Specialty Coffee Asociation of America、ことSCAAから見ていきましょう。
スペシャルティコーヒーの本家本元、総本山はスペシャルティコーヒーに対して、どんな考え方をしているのでしょうか。
SCAAのスペシャルティコーヒーは、基本的に「コーヒー生豆」に対して用いられる基準でなければならない。といっています。
つまり、SCAA――アメリカの特徴は「材料・原料」に着目しているところです。
ヨーロッパの場合
Specialty Coffee Asociation of Europe(欧州スペシャルティコーヒー協会)は、アメリカの定義に対して、どういう風に考えているのでしょうか。
SCAEは、スペシャルティコーヒーとは、コーヒーベースの「飲料」に対して基準を適用する、といっています。
つまり、ヨーロッパの特徴は、「メニュー」に着目しているところです。
日本の場合
そして、最後に我らが、日本スペシャルティコーヒー協会です。
日本の特徴は、Seed to Cup。最終的に出来上がる、コーヒーの中身、コーヒー液そのもの、に重点を置いています。
こう書くと、ヨーロッパの基準と何が違うのか、という話になります。
ヨーロッパとしては、ミルクを入れたりしたその先もスペシャルティコーヒーとしての特徴を保持していて欲しい、という考え方です。
日本は、ドリップなりエスプレッソなり、抽出方法はなんでもいいんですが、できあがったコーヒー液そのもの、に重点をおいています。
そばに例えると、ヨーロッパは二八そばもありだけど、日本は十割そばしか認めん!という感じですかね。
つまり、「できあがったコーヒー液」に重点を置いて考えています。
最低限のラインとは?
スペシャルティコーヒーとして認められる最低限のライン、というのはもちろんあります。
それは、
- トレーサビリティ「生産履歴」が明確であること
- カッピング審査を受けていること
カッピング審査で一定ラインの点数をとる、というのもある意味条件といえば条件になります。
具体的に言えば、80点以上をとることです。
プレミアムコーヒー
さて、では、プレミアムコーヒーというのはどんなものなのか。
一般的に「プレミアムコーヒー」といわれている豆は、ジャマイカの「ブルーマウンテン」やアメリカ・ハワイの「ハワイコナ」などがあります。コロンビアの「エメラルドマウンテン」もその一つでしょうか。
プレミアムコーヒーはスペシャルティコーヒーレベルのコーヒー
文字通り、プレミアムコーヒーはスペシャルティコーヒーレベルのコーヒーです。
お値段も、ブルーマウンテンやハワイコナはとてもお高く、下手なスペシャルティコーヒーよりも高いこともあります。
その豆の品質もそのほかのコーヒーと比べて非常に高い品質を持っています。
じゃあ、何故これらは「スペシャルティコーヒー」ではなく「プレミアムコーヒー」と別枠の呼び名を与えられているのでしょうか?
カッピング審査を受けていない
さきほど、スペシャルティコーヒーの条件はさまざまだよ、という話をしました。
そのなかで、最低限のラインである、二つの条件を挙げました。
- トレーサビリティ
- カッピング審査
この二つですね。
ここまで書くと、わかるかと思いますが、プレミアムコーヒーは「トレーサビリティ」が明確だとしても、「カッピング審査」を受けていないので(受ければ80点超えするのは確実だとしても)、スペシャルティコーヒーと名乗ることができない、ということになります。
とはいえ、これらのコーヒーはとても高価で、生産量が少なく、かつ、とても高品質なので、「コモディティコーヒー」と簡単に括ることも憚られます。
コーヒー業者のみなさんも商売ですしね(笑)
高い豆にはそれ相応の付加価値を与えてあげないと、なかなか売るのは難しいですし。
そのため、慣習・慣例的に「ハワイコナ」や「ブルーマウンテン」を「プレミアムコーヒー」と呼んで区別することになりました。
これが、「スペシャルティコーヒー」と「プレミアムコーヒー」の違いです。
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